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年休付与で使用者による時季指定の仕組みを新設~厚労省・労働基準法等の改正案要綱を労政審に諮問~

厚生労働省は2月17日、一定の年収要件を満たす高度な専門業務を行う労働者を対象に、本人の同意のもと、労働基準法の労働時間や割増賃金の規定を適用除外する制度を創設すること、また、年次有給休暇の付与について、使用者による時季指定の仕組みを新たに設けることなどを主な内容とした「労働基準法等の一部を改正する法律案要綱」を労働政策審議会(会長・樋口美雄慶應義塾大学商学部教授)に諮問した。 諮問の内容は、同審議会が去る2月13日、塩崎厚労相に対して行った建議「今後の労働時間法制等の在り方について(報告)」に基づくものとなっている。
 法案要綱は、①労働基準法の一部改正、②労働安全衛生法の一部改正、③労働時間等の設定の改善に関する特別措置法の一部改正ーーの3本柱から成っている。
 その中から、労働基準法の改正部分をみると、中小事業主については現在適用が猶予されている月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率(50%以上)に関する規定について、適用猶予の規定を廃止するとしている。
 また、年次有給休暇に関して、使用者は、年休日数が10日以上の労働者に対し、そのうち5日については、年休の付与後、1年以内に時季を定めて与えなければならないとしている。ただし、労働者による時季指定または計画的付与制度により年休を与えた場合は、その付与日数分については、使用者は時季を定めて与える必要はないとしている。
 次に、職務が明確に定められた一定の年収要件を満たし、高度の専門的知識を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められる業務(厚生労働省令で規定)に就く労働者にあっては、本人の同意によって、労働基準法で定める労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定は適用しないとしている。
 このほか、フレックスタイム制に関して、清算期間の上限を3ヵ月(現行1ヵ月)とすること、企画業務型裁量労働制の対象業務に、①事業の運営に関する事項に関し、繰り返し、当該事業の実施を管理するとともにその実施状況を評価し、当該評価の結果に基づき、当該事業の実施についての企画、立案、調査及び分析を行う業務、②法人である顧客の事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析を行い、これらの成果を活用した商品の販売または役務の提供に係る当該顧客との契約の締結に向けた業務ーーを追加することなどが盛り込まれている。
 なお、法案要綱は、これら改正規定の施行期日については、中小事業主に対する月60時間超の時間外労働の割増賃金率の適用は平成31年4月1日、その他の規定は28年4月1日としている。 
 同省では、同審議会の答申の後、法案を今の国会に提出する予定。