なぜ景気が回復しても給料は上がらないのか ~労働法の「ひずみ」を読み解く
カテゴリー | ビジネス・経営 ー ★働く・仕事を考えるシリーズ |
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著者 | |
編者/編著者/編集 | 倉重公太朗×近衞大×内田靖人 |
監修 | |
発行 | 労働調査会 |
発行日 | 2013-07-31 |
判型/頁数 | 新書判/240頁 |
価格 | 1,047円(税抜価格952円) |
送料 | 【1部 330円税込】 ご注文の合計部数により料金を設定しています。詳細はこちらまで |
ISBN | 978-4-86319-365-9 |
備考 | |
制作 |
要約
労働基準法が施行されて、既に半世紀が過ぎ、我が国の経済環境は激変する一方で、労働法は驚くほどその当時の姿のままである。こうした時代背景と法律のズレが、いま様々な「ひずみ」を生じさせ、労働者や企業を知らず知らず蝕んでいる。労働法を守らない企業は常にブラック企業なのか? 景気が回復しても給料が上がらないのはなぜか? 日本の労働市場が抱えている構造的問題を解明する。
執筆者
倉重公太朗
弁護士。安西法律事務所所属。第一東京弁護士会労働法制委員会外国法部会副部会長。慶應義塾大学経済学部卒。使用者側の労働紛争や人事労務セミナーを専門とする。
近衞 大
弁護士。森田・髙橋法律事務所所属。第一東京弁護士会労働法制委員会均等法部会・労使関係部会副部会長。早稲田大学法学部卒。労働事件(使用者側)を専門とする。
内田靖人
弁護士。虎ノ門南法律事務所所属。第一東京弁護士会労働法制委員会基礎研究部会副部会長。東京大学法学部卒。労働事件(使用者側)、倒産・事業再生、不動産取引などを専門とする。
【目次】
はじめに(本書の出発点)
第1章 なぜ景気が回復しても給料は上がらないのか
1 景気が回復すれば給料は上がるのか?
2 「不利益変更法理」とは
3 判例法理の問題点①~厳しすぎる賃下げ条件
4 判例法理の問題点②~読めない見通し
5 賃金の硬直化を招いた「不利益変更法理」の弊害
6 ガラパゴス化した賃下げ規制の「ひずみ」
7 ほかにもある月額基本給を上げられない理由
8 だから、景気が回復しても賃金が上がらない
コラム1 会社の賃金も会社の赤字もすべて分け合うんだ
第2章 なぜ仕事をしない人がクビにならないのか
1 仕事をしない人がクビにならない不思議
2 「解雇権濫用法理」について学ぼう
3 解雇権濫用法理の問題点とは
4 解雇権濫用法理の「ひずみ」①
5 解雇権濫用法理の「ひずみ」②
1 法律だけがいまだに終身雇用を前提としていること
2 正社員を増やしにくいこと(過労死問題)
3 嫌でも会社にしがみつかねばならない(メンタル問題、セクハラ・パワハラ問題など)
4 中途採用市場が活性化しないこと
5 新卒一括採用になってしまい専門性が強化されないこと(競争力の低下)
6 追い出し部屋の問題
6 解雇権濫用法理と高齢者雇用
7 決して労働者イジメではない
8 まとめ
コラム2 解雇限界のドグマ
第3章 仕事はあるのに人は足らない
~企業も従業員も不幸にする過重労働~
1 社会を揺るがした過労死問題
2 過労死問題の背後に潜む長時間労働とは
3 長時間労働の構造的な原因とは
4 簡単に人は増やせない
1 派遣や有期の非正規従業員の雇用は?
2 外部の請負という方法は?
5 会社はリスクを認識しなければならない
6 抜本的な解決策はあるのか~業務効率化の先にあるもの
コラム3 とんでもないものを盗んでいきました。あなたの健康と時間です
第4章 その残業、本当に必要なんですか?
1 はじめに
2 ダラダラ残業の方が高給とり?
3 残業代を計算してみよう
4 高給取りでも残業代がもらえる?
5 矛盾が生じる理由
6 残業代請求事件の急増
7 違法な残業代逃れは論外
8 まとめ
コラム4 残業代襲撃、総員、直撃に備えて
第5章 誰も幸せにならない合同労組
~自分さえよければ……という発想から自由になろう~
1 突然こんな通知書が届いたら?
2 合同労組と企業内組合の違いは
1 企業内組合の役割
2 合同労組とは
3 合同労組の4つの問題点
4 不当労働行為のリスク
5 団体交渉での企業の負担はこんなに大きい
6 企業側にも問題はあるが……
7 労働者側のデメリット
8 3つの処方箋
コラム5 僕と契約して組合員になってよ
第6章 「うつ」は会社のせいなのか?
1 増加するメンタルヘルス不調者
2 メンタルヘルスと休職制度
3 悩ましい診断書
4 主治医の診断書の問題点を考える
5 トラブルに発展するケースも
6 増大する企業の負担
7 労災認定基準の問題点は
8 解雇権濫用法理との関係ほ
9 立場を超えた取り組みを
コラム6 親父にもぶたれたことないのに……
第7章 労働法の「ひずみ」を解消する7つの処方箋
~労働法改革への道~
1 処方箋その1 雇用流動化政策①(出口論 解雇の金銭解決編)
2 処方箋その2 雇用流動化政策②(入口論 転職が当たり前の世の中に)
3 処方箋その3 雇用流動化の障壁と化している制度の改正
4 処方箋その4 労働者のスキルアップ促進政策(自らのスキルアップこそがセーフティネットである)
5 処方箋その5 労働条件の流動化(企業内流動化の促進)政策~不利益変更法理の緩和
6 処方箋その6 新たな労働時間関係~成果に応じた適切な評価を可能に~
7 処方箋その7 新たな労使関係の構築~真に労働者全体の代弁者たる労働組合へ~
8 まとめ
結びに代えて