わがまま(自己愛)化する仕事 メランコからナルシスへ
カテゴリー | ー 現在庫のない書籍リスト |
---|---|
著者 | |
編者/編著者/編集 | 大野 正和 著 |
監修 | |
発行 | 労働調査会 |
発行日 | 2010-02-15 |
判型/頁数 | 四六判/220頁 |
価格 | 1,760円(税抜価格1,600円) |
送料 | 【1部 330円税込】 ご注文の合計部数により料金を設定しています。詳細はこちらまで |
ISBN | 978-4-86319-115-0 |
備考 | |
制作 |
要約
あなたの仕事は、まじめで責任感の強い「メランコ」か?
それとも対人過敏で自己中心の「ナルシス」か?
日本の職場の病理は、過労死やうつ病から自己愛的なパワハラや軽症うつ病が増加している。いまや、まじめで責任感の強いタイプよりも自己中心的で他者の視線に敏感な人々が、職場の主流を占めるようになった。かつての日本的経営は、他人を思いやる利他的行動に支えられていたが、現代の自己愛は利己的・他罰的な傾向を強め、職場の雰囲気そのものが変化しつつある。この傾向が、能力主義から成果主義への移行の深層にあった。
『草食系男子の恋愛学』の大阪府立大学 森岡正博 教授 推薦!
「これは、ひきこもりの時代を生き抜く現代人のためのまったく新しい労働の倫理学である。」
【目次】
第1章 過労死、うつ病そして自己愛へ
1. 旧日本的経営(プロジェクトX)の時代
メランコリー親和型仕事倫理
柔軟(曖昧)な職務構造
良好な職場集団性
2. 1980年代後半の過労死像の原型
メランコリー型の孤立化
職務構造の非対称性
職場集団性の変容・解体
3. 00年代の職場状況のあらたな変化
自己愛と「やりたいこと」志向
自己愛型うつ、軽症うつの原因は何か
「ナルシス仕事」の時代の職場対応策
付論 能力主義型過労死
能力主義管理と〈メランコ仕事倫理〉
能力主義と成果主義との違い
第2章 日本社会を支えた〈メランコ仕事倫理〉
1. 日本的なあいまいな仕事分担
欧米とは違う「あいまいな日本の私」
仕事とは次の人のことを考えてするもの
「仕事は教わろうとするな、盗め」
2. 職場集団の間人主義的技能
日本社会の特徴である「間人主義」
間人主義的技能が日本的経営の強みだった
「あいだ」での相互依存の助け合い
人間関係を重視する日本の職場
3. 「日本人といううつ病」は病気ではない
「メランコリー親和型」が日本的経営を支えてきた
みんなに迷惑をかけまいとする責任感
〈メランコ仕事倫理〉にとって「まわりの目」とは何か
第3章 〈メランコ仕事倫理〉は衰退するか
1. 総理大臣にみる仕事倫理
「自己愛総理」小泉純一郎
文化と伝統の「美しい国へ」
過労死した小渕恵三の〈メランコ仕事倫理〉
2. 〈メランコ仕事倫理〉を体現した過労死
〈メランコ仕事倫理〉の基本的特徴
思いやりと気遣いの対他配慮性
頼まれたらイヤとは言えない
まじめで几帳面な秩序志向性
会社と家庭に努力する役割同一性
第4章 派遣社員過労自殺事件
1. 非正規労働者が過労自殺する時代
この事件を扱うにあたって
ステッパーの労働過程の概要
人物像と「メランコリー親和型」
「派遣社員」として働きはじめて
非正規労働者を巻き込んだ過労
2. 何が彼を自殺に追い込んだのか
ステッパー検査作業の現場
過労自殺の真因を探る
冷え切った職場の集団的感情
まじめで優秀な社員の孤独
自殺直前の極限的な過労状態
同僚同士が助け合えない状況
3. 資本主義と「お客様は神様」
顧客志向性が強く求められる現場
〈メランコ仕事倫理〉と顧客第一主義
第5章 能力主義の「現実」と成果主義の「理想」
1. 運命共同体としての能力主義
能力主義のもとでの〈メランコ仕事倫理〉
「第二のふるさととしての企業観」
時代的要請としての「自立した個人」
2. 「強い個人」を求める成果主義
やりたいことドライブの成果主義
人中心主義から職務中心主義へ
「与えられた仕事」よりも「やった仕事」の評価
第6章 労働現場の人間関係――うつ病と自己愛
1. 働き方の転換のなかでの過労と寡労
過労死とニートの意外な一致
能力主義から成果主義へ
「最強のチームワーク」が崩れるとき
2. メランコからナルシスへ
〈メランコ仕事倫理〉の黄昏
〈ナルシス仕事倫理〉の生成
第7章 ニートもヒルズも紙一重
1. サイバーエージェントの藤田晋
「自分らしさ」を常に追い求める
集中すると他が目に入らなくなる
「カッコいい自分」の夢をあきらめない
2. ライブドアの堀江貴文
「ジコチュウ」は人間の基本だ
「まわりの人間の存在」が気にならない
「他人の力を利用する」だけでいいのか
3. グリーの田中良和
やりたいことを仕事にしてお金を稼ぐ
「やりたいことがない」という不安
4. ひきこもりの「やりたいこと」=「天職」探求
自分の価値観とお金とのジレンマ
生きていく自信の支えがほしい
本当の使命に合致した天職を求めて
好きなことのために生きてもいいはずだ
世間は耐えることを教える
5. ひきこもりにとっての自分と「まわりの目」
まわりのペースに合わせるのがストレス
一人の時間がないと死んでしまう
世間体が気になるからひきこもる
終章 現代の〈ナルシス仕事倫理〉と市場原理主義
1. 職場の底流の大きな時代的変化
アグレッシブな〈ナルシス仕事倫理〉
「他人の目」の評価システム
ストレスからの自己防衛
2. 時代の激変のなかでの仕事倫理
ナルシシズムのふたつのタイプ
〈ナルシス仕事倫理〉のゆくえ