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合同労組対応のポイントは?

平成26年5月に、労働調査会から『会社は合同労組をあなどるな!~団体交渉申入書の回答方法から和解合意書の留意点まで~』という図書を刊行した。労務トラブル解決法!Q&Aシリーズの7冊目である。

本書の内容紹介をかねて、使用者(会社)が合同労組に対応する際のポイントについて説明する。

1 団体交渉には必ず応ずること

例えば、自社の従業員が重大な服務規律違反(会社資金の使い込みなど)をしたので、解雇しました。その元従業員が合同労組に加入し、その労組から会社に対して、「解雇の撤回、職場復帰、それまでの間の賃金支払い、解決金の支払い」を求めて団体交渉の申入れがあったとします。

この場合、会社は、必ず団体交渉に応じなければなりません。例えば、次のような理由で団体交渉を拒否すると、不当労働行為(労働組合法違反)となります。

■団体交渉拒否(不当労働行為)となる拒否理由(例)

①自社の従業員ではない組合の上部団体の役員が出席するので、団体交渉に応じない(団交をする労働組合から委任されていれば、上部団体の役員等も出席できます)

②組合員名簿を提出しないので、団体交渉に応じない(自社の従業員がその組合に加入していることが、団体交渉の前までに何らかの形で確認できれば、交渉を拒否できない)

③超多忙のため出席できないので、要求事項に文書で回答する(組合が要求しているのに、まったく面談しないというのは認められません)

④団体交渉の議題が使用者の経営権に関する事項であるので、従業員の団体(労働組合)と交渉して決める義務はない(経営権に関する事項であっても、労働者の雇用、労働条件等に影響を与えることは、団体交渉の議題として認められている)

合同労組が都道府県労働委員会にその救済を申し立て、同委員会が会社に対してその救済命令を出すと、会社は、団体交渉に応じたり、委員会に罰金を支払うことになります。

それは、労働組合法により、使用者(会社)には、団体交渉応諾義務があるからです。つまり、使用者は、労働組合またはその団体から団体交渉を申し込まれたら、これに応じなければならないのです。

2 安易に書類、メモに署名しないこと

会社が団体交渉に応じたとします。合同労組は、よく、会社に対して、暫定労働協約の締結や団体交渉の議事録作成を提案します。しかし、使用者と合同労組の双方が、これに署名すると、労働組合法上の労働協約となり、会社に対して強力な拘束力を持つことになります。

会社は、労使合意書はもとより、たとえ議事録、確認メモであっても安易に署名してはなりません。

3 最初から合同労組対応の専門家に相談すること

合同労組の役員は、その道のプロです。百戦錬磨の相手です。会社の経営者や管理職であっても、合同労組との対応経験のない人は、とても太刀打ちできません。

合同労組から団体交渉の申入れがあったら、直ちに合同労組対応の専門家に相談し、アドバイスを受けることです。

4 経営者、管理者として労働組合法について学習すること

合同労組への対応は、その後の会社経営に重大な影響を及ぼす一大事です。専門家に相談し、その知恵を借りるとしても、団体交渉の中心となるのは、会社の経営者、管理者です。そのためには、労働組合法、なかでも不当労働行為の禁止、労働協約の効力などについてきちんと習得しておくことが欠かせません。

本書は、合同労組への対応、企業内労働組合への対応にあたる経営者、管理監督者、それらの会社へのアドバイスを職業とする社会保険労務士をはじめとする専門家の方々に役立つと思います。是非、ご一読ください。

【著述業・労務コンサルタント 従業員1万人の企業の労務管理・労働法務担当審議役 布施直春】