労働あ・ら・かると
Withコロナニューノーマル いろはかるた2023
一般社団法人 日本人材紹介事業協会 相談室長 岸 健二
新年明けましておめでとうございます。
未曽有の新型コロナ感染症禍の中3年目の正月ですが、読者の皆様におかれましてはどのようにお過ごしでしょうか?
記憶を風化させず持続することが大切だと思い、毎年同じこと繰り返して恐縮ですが、新年のご挨拶に付言して申し上げます。
被災後12度目の正月に、未だ故郷に帰還できない大震災・原発事故被災者の方々、福島にて被曝の危険の中黙々と廃炉作業等に従事している方々、日本各地での災害に遭われた方々、ウクライナ他の世界中の戦乱や困窮の中にある人びとと、熱い心で支援活動をされている方々、そして何よりこのパンデミックに対処している医療従事者の方々と社会を維持しているエッセンシャルワーカーの方々に思いを寄せながら迎えた、筆者の新年です。
「働き方改革 いろはかるた」が一巡しましたので、今年からは「Withコロナニューノーマル いろはかるた」をお届けいたします。
い いつか必ずまた来るパンデミック
新型コロナウィルス感染症の取扱いについて、post/with コロナの時代を見据えての議論が始まっていますし、経団連による各業界での「新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン」の見直し等もなされていますが、「喉元過ぎて熱さを忘れ」てはいけません。今回のパンデミック対処について、また我が国の医療体制について、新型コロナウィルスが落ち着いているうちにじっくり検証し、準備を怠らないことが大事です。残念なことですが大震災もパンデミックも、必ずまた起きるのですから。
ろ 論語読みの論語知らず 国会議員の法律しらず
最近の国会の状況を見ていると、「この方たちは立法府を担っているのに法律を心底知っているのだろうか? 法を守ろうとしているのだろうか?」と言わざるを得ない報道が続いています。「嘘は泥棒の始まり」なのに、言を左右にしたり「記憶にありません」を繰り返してはいけません。「立法府」にいることの自覚をお願いいたします。
は 働き方の多様化 様々な求人票の出現
働き方改革によって、様々な働き方ができるようになってきました。一方的丸抱え雇用ではなく、応募者の希望・事情に合わせた労働条件で人材を確保し、その組み合わせで企業を運営する時代です。求人時に明示する労働条件を一票に記載する求人票も、様々なものがWeb上に氾濫しています。中には雇用でない人材募集も散見され、応募する人材の側にも必要とされる知識や情報が増大化しています。人材の立場に立ったきちんとした説明・助言のできる人材紹介コ ンサルタントの出番です。
に 二兎を追うものは一兎をも得ず 欲張り求人は人材に嫌われ
採用活動において、著名企業や上から目線採用担当者にまま見られる傾向ですが、応募者の中から内定ラインに達した 人材を確保しながら、「もっといい人材はいないか、もっといい人材を探そう。」と、明確な内定を出さず期待を持たせる言辞を弄して最終選考後何週間も人材を待たせる採用担当がいらっしゃいます。
求人を受けている人材紹介会社の「人材の立場に立った採用選考をしないと、企業イメージが落ちますよ。」という助言に耳を貸さないと、的確な人材確保ができないですよ。
ほ 法の目的 ルールの意味
筆者の日常お受けする、職業紹介業新規開設準備中の方、従事中の方からの質問の多くは、この人材ビジネスを規制している職業安定法や周辺の関連法・ルールに照らして「どうなのか?」という疑問を持たざるを得ないものが多くあります。
「その法律条項を守らないと、罰則はどのくらいですか?懲役ですか?罰金ですか?」という直截な問いかけも中にはあるのですが、筆者はよく道路交通法に例えてお答えします。「運転免許を取得するときに法規を勉強したと思います。何故だと思いますか?」と。先日「守らないと白バイに捕まるから、捕まらないようにですか?」という方がいらっしゃいましたが、筆者は「ルールは破った人を罰するためだけでなく、事故防止のために守るものなのですよ。」と申し上げました。職業紹介について定めた職業安定法も然りです。
へ 「平和と公正をすべての人に」がSDGsの掲げている目標16
ずいぶん多くのところで目にするようになった「SDGs:Sustainable Development Goals」ですが、掲げられた項目が17のゴール・169のターゲットに及ぶため、そのすべてを明確に記憶することは大変ですね。
SDGsの掲げている目標16に「平和と公正をすべての人に」があります。
持続可能な世界を実現するためには、世界中の人びとが、差別されず、暴力を受けず、災害や紛争に苦しまず、安全で安心な生活を送り、同じ立場で公正に話し合い、助けあい、みんな一緒に世界平和の実現に取組む必要がありますよね。
と 都会を離れてワーケーション
新型コロナウィルス感染症拡大によって一気に加速したテレワークですが、Withコロナの時代になっても元に戻ることはないでしょう。「地方創生」の旗振りがなくても、自然の多い地方に住み、子育てをしながら仕事ができるワーケーションによって「人間らしさを取り戻した。」という後輩が羨ましく思うこともあります。
通勤時間の解消が睡眠時間の増加につながるなど、働く質の改善という側面が明らかとなる調査結果も出ているものの、一方でエッセンシャルワーカーの方々の多くが、テレワークには向かない仕事の形態であることも際立ちました。
ち 治療薬開発がコロナ克服の道
後世の科学的検証が必要でしょうが、財政の悪化を心配しながらでも、たび重なるワクチン接種施策がコロナ禍から多くの国民を救ったと言われています。でも「いつまでこんな暮らしをしなければならないんだ。」というしびれを切らした声も聞こえます。
「グローバル経営」の名の下に、製造拠点、開発拠点が世界に拡散してしまいましたが、最近の国内回帰の中で、早く治療薬が開発されるといいですね。
り 流感並みに早くなれ新型コロナ
同時流行が危惧される新型コロナとインフルエンザですが、一方で新型コロナウイルスの重症化率や死亡率が季節性インフルエンザとほぼ同水準だったとして、政府が検討する感染症法上の位置づけ見直しの判断材料になるとも伝えられています。
専門家の中には単純比較では不十分で、コロナの感染力の高さや合併症、後遺症を加味してリスク評価する必要があるとの意見がありますが、医療体制への影響に十分に留意しつつ、はやく同等になるといいなぁと心底思います。
ぬ 濡れてる人に傘をさす
雨に濡れている人を見たら傘をさしかけることは、多くの歌の詞にも読まれていますし、韓国の絵本の「ヨンイのビニールがさ」(ユン ドンジェ 作)にも描かれている場面です。路上生活者の方がなぜそのような境遇になったのか想いを馳せることを忘れずに、社会のあり方を考えたいと思います。
地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」は、国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダSDGs」に記載されています。
(注:この記事は、岸健二個人の責任にて執筆したものであり、人材協を代表した意見でも、公式見解でもありません。)