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労働あ・ら・かると

働き方改革は休み方改革 ~テーマを持って旅に出よう~

一般社団法人 日本人材紹介事業協会 相談室長 岸 健二

まだまだ油断できないとはいえ、悪夢のような緊急事態宣言発出から丸3年、“ポスト”とは言えませんが、読者の皆様におかれましては“withコロナ”社会の新常態をまさぐる実感がそろそろ湧いてきているのではないでしょうか。
海外からの入国規制の緩和に伴い、街中で外国語が耳に飛び込んでくることも多くなり、インバウンドによる景気回復も期待できる機運が高まっているようにも感じます。

4月の年度替わり、読者の方々の中には初めて後輩を迎え入れた先輩社員の方もいらっしゃることでしょう。新入社員は、あなた方先輩社員の一挙手一投足をじっと見つめ、一日も早く一人前のビジネスパースンとなろうと努力していると思います。
そこで、是非先輩社員のみなさんにお願いしたいのは、「働き方」だけではなく「休み方」の手本も見せて欲しいということです。
働き方改革が提唱されてもう5年が経とうとしています。当時から「働き方改革は休み方改革でもある。」と主張する学者の方はいらっしゃいました。
「長時間労働の是正」が働き方改革のひとつであることは言うまでもありませんが、自らの生産性を向上させ、ダラダラ残業を無くしてテキパキと仕事を片付けてオフに切り替える姿を後輩に見せて欲しいのです。

「旅」は長めの休暇の過ごし方の有力な候補でしょう。筆者は「自分のスキル、自分の趣味」何でも構いませんが「テーマをもって旅に出よう。」と提唱します。
昭和の時代の「24時間働けますか」の残滓が幾分残っていると思われるビジネスパーソンや経営者の方もいらっしゃるでしょうが、筆者は仕事がら国内どこに行ってもハローワークを覗くようにしています。求職者の方の邪魔をしないよう気を付けながら、その地域なりの求人をながめることは「その地で働く人材の姿」をより鮮明に理解できるような気がします。
海外旅行に出かけて、中国で「介紹所」という看板を見つけたとき、韓国でハングル文字の洪水の中「雇用安定センタ」という表示を見つけたよきのわくわく感は忘れられません。言葉の壁がありますから、どこの国を訪れても職業紹介施設に出会えるわけではありませんが、最近はテクノロジーの進歩により、文字を撮影すると翻訳してくれる機械も手軽に入手できます。本格ビジネスに使用するには今一歩かもしれませんが、ベトナムでこの機能を使い「すし職人募集」という求人掲示を見ることができたときの気持ちを読者の方にはご理解いただけるでしょう。
自動車業界の方は、各国のトラックやバス、タクシーにいやでも眼が行くでしょうし、日本や韓国の中古車が大手を振るアジアの国々の様子を見るのも筆者とは異なった視点があることでしょう。JR関係者の友人と、外国で鉄道に乗った時に「あ、この音は保線がよくない。」と言っていたことも思い出します。

また、仕事に直結しないテーマでも、一つ何か決めて海外旅行をすることも面白いと思います。筆者は日本郵便の知人がいることから、各国の郵便ポストのシンボルマークを見ることも心掛けています。
日本の郵便のシンボルマーク「〒」が逓信省のよみがなの「テ」からデザインされたという話が、有名ですね。
中国では「CHINA POST 中国郵政」と書いたトラックを見たことがありますが、郵便局を街中で探しても、「郵」の漢字でわかってしまうので、「中」の字が何とか判読できる複雑なマークがあるようですが、ついつい見過ごしてしまいます。
お隣の韓国では郵便ポストにツバメがデザインされています。早く飛ぶ鳥が郵便物の配送の象徴とされたのでしょう。鳥を郵便のシンボルとする話は、ずいぶん前にこの「労働あ・ら・かると」にも、カンボジアのスマートフォンと連動した配達の仕組みの話を寄稿しましたが、彼の地では神話の怪鳥ガルーダが郵便局の前に鎮座していましたし、エジプトでは「ホルス」(ハヤブサの頭をしたエジプト神話伝説上の神)がシンボルマークだそうです。もっとも広大な砂漠はもちろん街中でも郵便物を投函するポストは見かけませんでしたが。
ヨーロッパに行かれれば、家の前のポストにも郵便局にもホルンのマークがあることに気づかれる方も多いでしょう。諸説あるでしょうが「郵便馬車が到着したぞぉ」とか「ランチができたぞぉ」とかという「情報伝達の手段」がホルンであったことからかもしれない、と想像するだけで楽しいです。

Post/with コロナ社会の中、PC画面でのコミュニケーションを活用することは元に戻らないでしょうが「料理の味、街のにおい」はまだ今の技術では伝える通信手段はありません。経済の活性化のためにも自分の心の活性化のためにも、「メリハリをつけた休暇の旅」をして、また活き活きと仕事をする姿を、是非後輩に見せてあげてはいかがでしょうか。
以上

(注:この記事は、岸健二個人の責任にて執筆したものであり、人材協を代表した意見でも、公式見解でもありません。)