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船舶所有者の事業のメリット収支率計算上の調整率を新設

~厚労省・徴収則改正案要綱を労政審に諮問~

厚生労働省は12月12日、労災保険のメリット制におけるメリット収支率の計算に用いる第一種調整率として、船舶所有者の事業の率を新たに定めることを内容とした労働保険徴収法施行規則の改正案要綱を労働政策審議会(会長・樋口美雄慶應義塾大学商学部長)に諮問した。同審議会は、これを同審議会労働条件分科会労災保険部会(部会長・岩村正彦東京大学大学院法学政治学研究科教授)において検討した結果、諮問案を「妥当と認める」とする答申を取りまとめ、同日、田村厚労相に提出した。

それによると、労災保険のメリット収支率の計算に用いる第一種調整率に、船舶所有者の事業の率0.35を新設するとしている。これは、平成22年1月に、それまで船員保険が行ってきた船員の職務上の事由または通勤による傷病等に関する保険給付が労災保険に統合されたことに伴うもの。

労災保険では、事業主の保険料負担の公平性の確保、事業主の災害防止努力の一層の促進を目的に、個々の事業場の労働災害の多寡に応じて労災保険率をプラスマイナス40%の幅で増減する「メリット制」を採用している。メリット制では、連続する3保険年度間における収支実績を評価して、翌々年度の労災保険率を決めている。

船舶所有者の事業にあっては、船員保険から労災保険制度に統合されて平成24年度をもって3ヵ年が経過することから、平成26年度より初めてメリット制が適用される。

メリット制の適用は、3保険年度間の保険給付額と保険料額をもとに算出する収支率(メリット収支率)に基づき保険料を増減させる。その計算の際、保険給付額には、年金給付にあっては一時金相当額のみ計上しているため、保険給付額は、それに対応する調整係数を掛けた額として収支率を計算している。

この調整係数が「第一種調整率」といわれるもので、一般の事業にあっては100分の67と定められている(労働保険徴収法施行規則第19条の2)。そして、今回新たに、船舶所有者の事業に係る第一種調整率として100分の35が定められることになった。

同省は、近く改正省令を公布し、平成26年4月1日から施行することとしている。