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雇用率制度上の精神障害者の雇用義務化未だ不透明
~労政審障害者雇用分科会で意見書の素案示される~
障害者雇用促進制度における障害者の範囲等の見直しなどについて検討している労働政策審議会障害者雇用分科会(分科会長・今野浩一郎学習院大学教授)での議論が大詰めを迎え、1月22日の会合に意見書(「今後の障害者雇用施策の充実強化について」)の素案が示された。
同分科会では、昨年8月に取りまとめられた今後の障害者雇用のあり方に関する3つの研究会報告書が示した提言を受けて、①労働・雇用分野における障害を理由とする差別の禁止、②職場における合理的配慮の提供を確保するための措置、③権利擁護(紛争解決手続き)、④障害者雇用促進制度における障害者の範囲、⑤雇用率制度における障害者の範囲等――などに関して検討している。
上記の検討項目のうち、雇用率制度における障害者の範囲に関しては、先の研究会報告において、「精神障害者に対する企業の理解の進展や雇用促進のための助成金や支援機関における支援体制の強化等の支援策の充実など、精神障害者の雇用環境は改善され、義務化に向けた条件整備は着実に進展してきたと考えられることから、精神障害者を雇用義務の対象とすることが適当」とされたことから、分科会での議論が注目されていた。
昨年の秋以降6回にわたる分科会での議論を踏まえて作成された意見書素案では、雇用率制度における精神障害者の取扱いに関する部分は、雇用義務の対象とするか否か明確になっていない。これは、これまでの議論において、精神障害者を雇用義務の対象とすることが適当であるとの意見(主に労働者代表委員と障害者代表委員)がある一方、精神障害者の雇用環境に関する状況についてさらに議論したうえで義務化の可否を検討すべきとの意見(主に使用者代表委員)があり、未だ集約できていない状況によるもの。
分科会は、近く意見書をまとめるべく議論を進めていくこととしている。