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大阪の印刷業で発生した16人の胆管がん労災認定に
2013.03.15
~厚労省の検討会が業務との因果関係認める報告書提出~
大阪府内の印刷事業場で発生した胆管がんの労災請求について、業務との因果関係を検討していた厚生労働省の「印刷事業場で発生した胆管がんの業務上外に関する検討会」(座長・櫻井治彦産業医学振興財団理事長)が3月14日、報告書をとりまとめた。
報告書は、化学物質ばく露と胆管がん発症との因果関係について、胆管がんは、ジクロロメタンまたは1,2-ジクロロプロパンに長期間、高濃度ばく露することにより発症し得ると医学的に推定できると結論づけた。そして、同検討会で検討した大阪の印刷事業場で発生した16人(24年12月末までに請求があった事案)の胆管がんは、1,2-ジクロロプロパンに長期間(約4~13年)、高濃度ばく露したことが原因で発症した蓋然性が極めて高いと判断した。
報告書を踏まえて同省は、今回検討を行った16人(24年12月末時点でうち7人が死亡)については、大阪労働局に対し、速やかに事務処理を行い、今月中に決定(業務上認定)を行うよう指示した。なお、同事業場については、25年2月に、さらに1件の労災請求が行われているが、同事案についても調査が整い次第、同検討会において決定に向けた検討を行う予定。
また、印刷事業場における胆管がんに関する労災請求事案は、25年2月末現在64件(大阪の17件を含む)あり、大阪以外の事案についても同検討会で検討することになっている。
同省では、今回の報告書を踏まえ、1,2-ジクロロプロパンについては、特定化学物質障害予防規則等を改正し、ばく露防止措置を義務化するなど、化学物質の管理を強化する方針を打ち出している。また、法令の改正・施行前においても同物質の使用を原則として控えるよう指導することとしている。