【要約】

業務によるメンタルヘルス疾患が近年急増している。精神障害の労災認定について、「心理的負荷による精神障害の認定基準」策定の背景、「ストレス－脆弱性理論」の採用、認定基準の中心となる「業務による心理的負荷評価表」の解説等、根本から詳細に解説した唯一の書。平成11年の判断指針から平成23年12月の「心理的負荷による精神障害の認定基準」策定及び平成25年10月の改正労基則別表第１の２までのすべてをカバーした。

【目次】

第１章　業務上疾病の認定
第１節　業務上疾病に関する法令
１　業務上疾病の範囲の明確化
２　業務上疾病の範囲を定める法令の変遷
３　労基則別表第１の２
４　具体的列挙規定と包括的救済規定
第２節　業務上疾病の認定の基本的考え方
１　疾病の概念
２　疾病の原因に関する概念
３　認定の基本的考え方
４　複数の原因が競合する場合の認定
５　業務上疾病に付随する疾病の認定
６　業務上疾病の認定基準

第２章　判断指針及び認定基準の策定の経過等
第１節　精神障害等の判断指針以前の取扱い
１　精神障害の従来の取扱い
２　自殺の従来の取扱い
第２節　労災補償等の現状
１　労災補償の現状
２　精神障害患者数等の現状
第３節　判断指針の策定の経緯
第４節「ストレス－脆弱性理論」の採用
１　対象とする精神障害
２　ストレス強度、脆弱性評価の基本
第５節　ストレスの客観化
１　ストレスの理解
２　業務によるストレス影響の発現モデル
３　ストレスの種類
４　時間軸、生活軸でみた心理社会的ストレス
第６節　判断指針における業務による心理的負荷の評価
１　「職場における心理的負荷評価表」の作成経過
２　旧別表１の構成
３　心理的負荷強度「Ⅰ」「Ⅱ」「Ⅲ」の意味
４　職場における心理的負荷評価表の見直し
第７節　認定基準の策定
１　認定基準の策定の経過
２　判断指針から認定基準への名称変更
第８節　自殺の取扱いの検討
１　労災保険法第12条の２の２第１項の性格
２　精神障害による自殺に係るこれまでの解釈
３　「故意」要件の検討
４　故意による死亡ではないことの推定
５　精神障害によらない自殺
６　遺書等の取扱い

第３章　認定基準
第１節　総論
１　対象疾病（「認定基準」第１）
２　認定要件（「認定基準」第２）
３　認定要件に関する基本的な考え方（「認定基準」第３）
第２節　認定要件の具体的判断
１　発症の有無等の判断（「認定基準」第４の１）
第３節　業務による心理的負荷の強度の判断
１　業務による心理的負荷の強度の判断（「認定基準」第４の２）
２　「特別な出来事」に該当する出来事がある場合（「認定基準」第４の２の(1)）
３　「特別な出来事」に該当する出来事がない場合（「認定基準」第４の２の(2)）
４　出来事が複数ある場合の全体評価（「認定基準」第４の２の(3)）
５　時間外労働時間数の評価（「認定基準」第４の２の(4)）
６　出来事の評価の留意事項（「認定基準」第４の２の(5)）
第４節　業務以外の心理的負荷及び個体側要因の判断
１　業務以外の心理的負荷及び個体側要因の判断（「認定基準」第４の３）
２　業務以外の心理的負荷の判断（「認定基準」第４の３の(1)）
３　個体側要因の評価（「認定基準」第４の３の(2)）
第５節　精神障害の悪化の業務起因性（「認定基準」第５）
第６節　専門家の意見の聴取
１　専門家意見と認定要件の判断（「認定基準」第６）
２　主治医意見による判断（「認定基準」第６の１）
３　専門医意見による判断（「認定基準」第６の２）
４　専門部会意見による判断（「認定基準」第６の３）
５　法律専門家の助言（「認定基準」第６の４）
第７節　療養及び治ゆ（「認定基準」第７）
第８節　その他
１　自殺について（「認定基準」第８の１）
２　セクシュアルハラスメント事案の留意事項（「認定基準」第８の２）
３　本省協議（「認定基準」第８の３）

■参考資料
資料１　関係法令
資料２　心理的負荷による精神障害の認定基準について
（平成23年12月26日付基発1226第１号）
資料３　心理的負荷による精神障害の認定基準の運用等について
（平成23年12月26日付基労補発1226第１号）
資料４　精神障害による自殺の取扱いについて
（平成11年９月14日付基発第545号）
資料５　精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会報告書
資料６　心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針について
（平成11年９月14日付基発第544号）
（一部改正　平成21年４月６日付基発第0406001号）
資料７　ICD-10第V章「精神および行動の障害」中間分類項目
資料８　慣用的に用いられる臨床診断名とICD-10との対照表
資料９　ストレス強度の客観的評価に関する研究
資料10　判断指針策定以降のストレス調査に関する委託研究
資料11　諸外国における精神障害の労災補償状況